ダリヤ
ああ、その花のように
気高く華やかな君を、僕という名の花籠に
摘んで、奪い去れたなら


ダリヤ
ああ、僕は君を失ってしまう悪夢から
覚めることができるだろうか?






凍てつく寒さから逃れるように、温もりを求め。
気がつけば彼女の部屋の前まで来ていた。

、起きてる?」

コンコンと軽いノックと共に遠慮がちに声をかければ、僅かに遅れて声が返る。


「ん?アレルヤ?起きてる、入っていいよ」

ドアの向こうから響いてくる、その優しい声色に、知らずホッと溜息が漏れる。

「ごめんね、夜遅くに…」

時間はすでに深夜という時間帯に突入している。
起きていたのか、それとも起こしてしまったのか。
どちらにせよ、この時間帯の訪問は非常識だという自覚はあるので、先にそれを謝っておく。



「こんばんは、

扉を開けた先に立っていたに、そう言って微笑みかける。


会いたかった。
とても怖い、夢を見たから。

会って、その温もりを確かめたかった。



「…ア、アレルヤ…っ?!」

驚きの声を上げるを腕の中に包み込んでぎゅっと強く抱き締める。


ドクドクと触れた先から伝わる鼓動に、漸く現実を噛みしめた。




「よかった…、生きてる」





Dahlia





ああ、ダリヤ
もしも私が花へと生まれ変わるならば
私はあなたへ生まれ変わりたい


ああ、ダリヤ
あなたならば、その明るさで、その華やかさで
彼を悪夢から救えるだろうか?






満天の星空を見上げながら、疼く熱に唇を噛みしめた。

「……っン………ぅ…、ぁ…」

胸元を舐め這う舌が肌を濡らし。
睦言を紡ぐ唇が、ちぅ…と音をたて、赤い花を咲き乱らせていく。


「ここにも、つけようか」

言いながら、這い上ってくる舌が、喉元あたりでぴたりと止まる。

「だ、めっ……、そこは、見え……っ、ッん、…ぁ…」

逃れようにも、腕の中にすっぽりと抱きすくめられていては、逃れられる筈もなく。
ならばと言葉で抵抗すれば、すらりと細い指が口内へと押し込まれ。
最後の抵抗と、顔を下げようとしたら、口内に入りきらなかった指で顎を掴まれ上を向かされる。



は僕のなんだ、って…印、つけとかないとね」

「…やっ…、ぁ……レル、ヤ…」

仰け反り晒される肌に、唇がちぅ…と吸いつき。
真っ赤な花が、主張激しく色づいていく。


「ふふ、これで身も心も、僕のものだね」

服を着て、ギリギリ隠れるか隠れないかの間際に咲いた一輪の花。
歪んだ笑みのアレルヤが、綺麗だよ…と優しく囁く。






ああ、ダリヤ
私は彼を救えるだろうか?



部屋を訪れてきた―――扉を開けた、あの一瞬に。
虚ろな表情で柔らかな言葉を紡ぐ、アレルヤに。

私は四年の歪みを知った。



ああ、ダリヤ
彼の悪夢はいつ、醒めるのか…







MIDI BY ONE's