アレルヤって、なんであんなに締まった体してんだろう。
「はぁー…いいよね、もーたまんなーい」
触りたーい、揉みたーい。
あの筋肉を鷲掴みたーい。
トレーの上に残った人参をフォークでぐさぐさ刺しながら。
意識の片隅にパイスー姿のアレルヤを思い浮かべて、にへら…と笑う。
すると正面で同じく朝食をとっていたリヒティがヒィッ…!とあられもない声を上げた。
「…、さん?ちょっ…、なんか笑い顔がそこらへんのテロリストより凶悪になってるっすよ!!!餓えた獣っすよ!」
「えー、そんなことないそんなこ…、いいんだよリヒティ。俺らテロリストじゃん!」
穴の空きまくった人参が突き刺さったフォークをビシッ…!とリヒティの顔面に突き出して。
だって俺たちテロリスト〜と鼻歌交じりにその人参を口元へと運ぶ。
リヒティが納得する場所が違う、いや、納得していいんすか!となにやら喚き散らしているが、他に納得いかない部分なんてない。
だって、今の俺って確実に酔っぱらいの変態おっさんモード発動してるもん。
リヒティ、いくら俺の顔が綺麗だからって中身まで同じく綺麗とは限らないんだぜ。
口には出さずに心の中だけでそう呟いてフッ…とキメて。
リヒティのトレーに残っていたメロンにグサリとフォークを突き刺す。
「あ゛ーーーーーーっ!!!」
すると、それまでぶつぶつと何かをしゃべっていたリヒティが。
まるでこの世の終わりといわんばかりの悲鳴をあげて、俺の口に運ばれつつあるメロンを指さした。
「俺のメロンーーーーー、一番最後に食べようって取っておいたメロン!!!」
「なんだ、食べないから嫌いなのかと…、…ふっ」
涙目なリヒティにいいこと思いついた…と思った瞬間。
それを悟ったのかリヒティが若干じり…と身を引いた。
「なっ…、何考えてるんすか、さん?!」
「…リヒティ、このメロン食べたい?」
リヒティの質問には答えずに。
まだ口元で止まっているメロンを指さし、にんまりと笑顔を浮かべて。
逃げ腰気味のリヒティに問いかける。
「メロン、食べたい?」
「た、食べたいっすけど…でっ、でも…さんが食べたいならもうい――」
いっす…と続くはずの言葉は、ゴスッ…とぶち込んだメロンによって塞がれた。
そして、フォークを挟んだ口内に入りきっていないメロンの残り半分に…
「んじゃ、いっただっきまぁーす」
極上の笑みを形づくったの唇が、あむっ…と被さり。
メロンの甘い果汁がもごもごと動く唇の動きと共にリヒティの顎を伝い。
胸元のシャツに染みを作り、広げていった。
果肉のつぶれる音が卑猥な音のように、耳に響いてこびり付き。
齧りとる動作で吐き出される吐息が、リヒティの脳内で違うビジョンを構築していく。
おっ、男!さんは男!男おとこ、男っ!!!!!!
必死に頭を振って心を落ち着けようにも、非常に残念なことに、頭はの手によってがっちりと拘束されていた。
そして、トドメと言わんばかりに、メロンを齧りとった唇が。
離れる間際に甘い舌をちょこんと出して、ペロリとリヒティの唇を掠めとっていった。
「んむっ…ンッ、んんんんーーーーーーー!!!!!」
「俺のどこが飢えた獣だ!もうっ、口の悪い子だなぁ、リヒティは…」
にんまりと、満足げかつ意地の悪い笑みを浮かべたが。
そう言って口の端に残った果汁を指の腹で掬い、ペロリと舐めとる。
「さぁーて、食事も済んだことだし、アレルヤ探してこよーっと。
胸筋、きんにくっ、揉ーみたぁーいなぁーっと!」
今っ!今のその凶悪な笑みとあやしい笑いと顔付きがまんま餓えた獣じゃないっすかーーーーー!!!!
アレルヤさん、逃げてください!
逃げてーーーーーー!!!
そんなリヒティの心の叫びを、知る由もない。
「あーーーっ、アレルヤ!ちょっと動かないでそのまま、そのまま……!!」
廊下をてくてくと歩く中、満面の笑みのに遭遇した。
アレルヤ・ハプティズム、19歳。
休憩中の一コマ
セクハラする人、される人 3