焼き立てのお菓子の甘い匂いが満ちた部屋。
膝元にあるテーブルにはその甘い匂いの根源でもあるパイが均等に切り分けられ。
そのパイが置かれている隣では、よく蒸らした紅茶が高い位置からカップへと零れることなく注がれていく。
凄いなぁ…と眺めていたら、紅茶を淹れていたリヴァイヴがにこりと微笑んできた。
へらっ…
綺麗な笑顔につられて、同じく微笑む。
イノベイターって、なんでこんなに綺麗な顔ばっかりなんだろう。
裏でこそこそと小細工なんてしなくても、この顔だけで世界を好き勝手できるんじゃないんだろうか。
まぁ、おっさんとか気持ち悪くて相手にできるかっ!とか言って文句垂れまくって結局他人を使うってのがオチっぽい気がするけど…。
でも、ほんと綺麗だよなー。
でも、その綺麗さに見事に騙されたんだよなー、俺。
紅茶を淹れ終わったリヴァイヴが向かいのソファーに腰掛けるその動作に、はっと我に返り。
受け止めたくない現実を思い出す。
「……。なぁ、ひとつ聞いてもいい?」
非常に受け止めたくない現実だが、現状を打開するには自分から動く以外に方法はない。
「なんだい、?」
柔らかな口調で目線を合わせてくるリボンズに。
俺は意を決して聞いてみた。
「あんたらにとっての俺って、何?」
リボンズ様と俺。 1