広い部屋。
室内には甘い香りが漂い。
テーブルの上には切り分けられた美味しそうなパイと、いい香りのする紅茶が四つ、置かれている。


一つは俺のもの。
もう一つは正面に当たるソファに座っているリヴァイヴのもの。
もう一つは、俺の右前に座っているリジェネのもの。

そして最後の一つは…、俺を膝の上に乗せて優雅に寛いでいるリボンズのものだ。




「何…かと聞かれると少々困るんだけど、そうだな…しいて言えば―――…」

「しいていえば…?…何、ちょっ…そこで意味深に黙りこむ?!」

答える風に口元に手の甲を持っていったリボンズが、そのまま黙り込んでしまう。
普通ならば続く答えを紡ぐまで待つのが道理だろう。

だが、一般人的感覚でこいつらを相手にしてはいけない。
俺はそれをこの数日で学んだ。
というか、学ばざる負えなかった。

そして、俺は見た!
考える風にして口元にあてられていった手の甲の下で、隠れた口元が僅かに歪んで吊りあがっていくのを。


「ちょっ…、また何かヤなこと考えてるだろお前っ!! なぁ、ちょっとリボン…ズ…ッ、ひゃっ…ぅ」


ほーら、言わんこっちゃない。

リボンズが動くより僅かに先に危険は察知できたけど。
所詮腰元を抱きとめられてホールドされてたら、意味無いよ、な…ははっ。


リボンズの襟元を責め立てようと握りしめようとした手は、いつの間にこちら側に回ってきていたのか、リヴァイヴによって掴まれていて。


「お前、なんて…僕はそんな口の聞き方を君に教えた覚えはないんだけどな、?」

俺を膝に乗せていたリボンズが、ゆっくりと顔を近づけ迫ってくる。


ああ、俺の馬鹿っ…!
そう思って覚悟を決めて目を閉じると、唇が触れる寸前に、リボンズがぼそりと呟いた。



「何?って、君は僕たちの愛玩人形だよ、。」





リボンズ様俺。 2