天使って、きっとこういう子のことをいうんだよねー。



「マリーっていう名前なんだってね、俺もマリーって呼んでいい?」

「あ、はい…」

「ああ、控え目なところも超可愛い!マリーちゃんは俺の心のオアシスだよ!ほんと!」

見つめられるのが苦手なのか、僅かに顔が俯いているけれど。
その僅かに伏せられた瞼を縁取る睫毛の瞬きがとても可憐に見えて。
遠慮がちに紡がれる声が、乙女っぽくて超、イイ!

「あ、ありがとうございます…」


「ああ、CBに来てくれてありがとう。もうほんっと、マリーちゃん可愛い!」

そう言ってぎゅっと抱きつけば、銀糸の髪がふわりと浮いて。

「あ、あのっ…、さんっ…!?」

耳元で聞こえる恥じらいの声が、とても初々しくて、可愛い。






…が、そんな甘い時間を邪魔するお子様が、ここに一人。




「…、んー…俺の愛しの弟分のアレルヤ君。俺の気のせいじゃなければ、今俺の後頭部に当たってるのってぇ…」

「銃ですけど、なにか?」



ああ、めっちゃ怒ってる。
コエー…、こいつここまで怒ることあったんだー…俺、初めて知ったよ!


「じゃ、ねーーーーーよっ!アレルヤてめぇ、俺に銃なんて向けていいと思ってんのかゴルァ!アリオスの整備してやんねぇぞ!」



そう言って、威勢良く振り返った。

アレルヤはいつだって俺の弟分で。
記憶の中にあるアレルヤは、それはそれはもう、俺を頼りにして俺に懐いてたかぁーいいアレルヤだったのに…。


「いいんです。万一の時には沙慈くんにお願いしますから」



ねぇ、誰…
この黒い子、誰?!

俺のかわいいアレルヤはどこ行ったのぉおおおおおお!!!!!


思わずそう叫びそうになるくらい。
振り返った先には、満面の笑みで“それ以上僕のマリーに何かしたら…、わかってますよね?”って目で脅してくるアレルヤが、居た…。



君は天使 02