報われることのない想いなのだと、改めて思い知らされる。
「…」
そう囁く甘い声は、何一つ変わらないのに。
「……ンッ、…ん…っ……」
性急な口付けから唇を割って侵入してくる舌が。
ブラウスを捲りあげ、露わになった胸元に這わされる、手慣れた仕草が。
「…、愛してる」
同じ唇から紡がれるその言葉が。
「っ……や、……ロ、ック…オン…」
彼が、彼であって彼でないものなのだと、無情に伝える。
「ん?何だ、?」
涙に濡れ歪む視界にその名を呼べば。
腹部辺りに降りていた顔がすっと上がり、優しい笑みで私の名前を、呼ぶ。
同じ顔で、同じ声で。
「ロック、オ…ン……っ、ひ……っく……、ロック…オン…」
同じなのに、違う。
…いや、同じに見えるようで、実は何一つ同じではないのかもしれない。
嗚咽混じりにその名を呼べば、優しく私の名は呼ぶけれど。
寝台の端に縛り上げた、私の手首を解こうとはしてくれない。
溢れだした涙が頬を伝って零れ落ちるその前に、指の腹でその雫は掬ってくれるけれど。
私のナカに突き挿れた、熱い楔を抜こうとはしてくれない。
「泣いてちゃわからないぜ、?なんだ、もっと欲しいのか…?」
涙を拭っていた指先で、僅かに開いた唇をゆっくりとなぞりながら、
“あんたも、好きだなぁ…”
近寄ってきて、耳元で止まった唇が、彼の声でそう囁く。
「…そっ…ん……ッ、や…ぁあぁっ…!」
ロクな愛撫もなしに突き挿れられた秘所が、加減無く繰り返される激しい抽挿に悲鳴をあげても。
彼の動きは止まらない。
止まるどころか、それ以上に加速を極め。
それが絶頂の瞬間へと向かっているのだと気づいた時には、何もかもが手遅れだった。
「や……、イ…ヤ………抜…いて……、いや、ぁああああっ…」
悲鳴と、びくりと震え詰まった息が吐き出されるのが重なって。
「―――っ、は…ぁ…」
私のナカへと彼の熱が、容赦なく注ぎ込まれていく。
こんな酷い扱いを、あの人は絶対にしない。
「これ、解い…て…」
「嫌だね。あんたが俺を…ロックオン・ストラトスを愛してる、って言ってくれたら解いてあげるよ」
「憎んでも憎みきれないほどあなたが憎いわ、ライル・ディランデイ…」
交差する夜 第一夜