突然ですが、縮みました。
えっ、何が?って?
「俺が…、俺が縮んだ!!!モレノすぅぁああああああああああああん!!!!!!!」
ひよこ饅頭+=みにまむ
「うわー…、ほんとに縮んじゃってますね」
「かぁあわいいなぁ、〜!」
「自覚が足りなさすぎです!・!あなたは…」
「お前が最小だ、」
後ろの方で各々が好き勝手に感想を述べている中、聴診器をあてる為に捲りあげていた服をばさっと戻して。
目の前のモレノさんにじりじりとにじり寄る。
「…げ、原因は…?」
「んー、わらかんねぇ。君、今日何か変わったもの食べたり飲んだりとかは?」
聞かれて、うーんと首を捻って今日起きてからを振り返る。
朝。
普通に起きて、いつも通りの身支度をして、迎えにきたアレルヤと一緒に食堂にいって、アレルヤと同じメニューをとった。
…アレルヤと一緒だったから、ここじゃないな。
昼。
刹那と一緒にトレーニングして、そのまま一緒に御飯食べて、飲み物だけ刹那と一緒じゃなかったけど、同じコーヒーを隣のテーブルでラッセが飲んでた。
…これも、違う。
夜。
まだ何も食べてない。
「…んー、特にこれと言って変なものを食べたり飲んだりはしてなー…」
朝昼晩、特に異常なしで、答えながら首をかしげていると、後ろからぼそりと刹那が呟いた。
「ひよまん…」
なんだか語尾に恨めしさが漂っているのはこの際気にしない。
だが、それで俺は一つの非日常の飲食物を思い出した。
「あー…、ひよこ饅頭!ひよまん食った!」
掌をポンと叩いて、ひよまんを繰り返す俺に、モレノさんが何とはなしに聞いてくる。
「どれくらい?」
「……。」
聞かれてピタリと押し黙る。
「ん?君?」
気まずさに逸らした視線の端に、再び問いかけつつ小首を傾げるモレノさんが映った。
あ゛ー…、どれくらい、だったか…なぁ…?
心の中の問いかけに、返る答えは無い。
というのも、非常に残念なことだが、自分がどれだけ食べたか覚えていないのだ。
だって…
「全部…」
重い沈黙を押し破るように、再び刹那が後ろでぼそりと呟く。
そして、それを耳聡く聞いたらしいアレルヤが、
「全部?!えっ、全部って…、君どれだけ食べたの?!」
と俺にさらに聞いてくる。
やめてっ…!
そんなに大きな声で言わないでアレルヤ…!!
そんな願いは、既に遠く彼方だ。
アレルヤの声に、残りの面子からも、はぁ…と深い…とても深い溜息が吐き出されている。
ああ…
押し黙った理由が、思いっきりバレてしまった。
隠すつもりがなかったわけではないが、でも、できればバカ食いしていたのを知られたくはなかった。
だって、それがわかっちゃうとご飯のときにおかわりしようとすると“待った!”がかかっちまうんだもん。
まぁ、おもにそれはロックオンが一緒な時に限定はされるんだけど。
「………ひ、ひと箱全部?」
バレてしまったものは仕方がないとあきらめの境地で、だがそれでもあきらめ悪く、語尾を疑問形にして答えた。
すると、これでトドメだと言わんばかりに、刹那がまたしてもぼそりと呟いた。
「そう、ひと箱。ひと箱全部、計36個。俺の…俺達への土産だったものをは一人で食べた…」
ああ…
やっぱり、全部食べたのを怒ってたんだね、刹那。
非難の視線が四方から注がれる中、が観念して「間違い、ありません…」と降参のポーズを取る。
だが、それでは気が済まない奴が約一名。
あああ、後ろでものすごい殺気を渦巻かせてるよ、アイツ…。