たとえば、目の前で .
大切な仲間が泣いている時。
彼らならば
どうしたのかと声をかけ、零れる涙をさっと拭い。
泣き止むまで、優しく傍についているだろう。
「5分だ、それ以上は見きれない」
精一杯考えた結果だ。
瞳に、溢れ零れんばかりの涙を浮かべて、「今だけ、…ほんの少しだけ」と、
力なく背にしがみ付いてきたに、どう接してやればいいのか。
ロックオンのように、気の利いた台詞など浮かばない。
アレルヤのように、優しく気遣ってやれるような性分じゃない。
刹那のように、寄り添うこともできない。
そんな風に考えていたら、優しさなど欠片もないような言葉に、なってしまった。
けれど、は「ありがとう」と言う。
ああ、この俺に、今より少しだけ、彼らのような気概があったなら。
そのまま背中で泣かせるようなことには、ならなかったかもしれないのに。
他人と触れ合う機会を自ら遠ざけていた、過去の自分への罰だろうか。
抱き締めてやりたいと、思うのに。
俺にはそれが、できなかった。