たとえば、ハプティズムが
二人に分裂したとしたならば。
「刹那はどうするー?」
「俺は逃げる」
「えー、なんだよそれ。遊び仲間が増えて楽しいとか思わないのー?せっちゃん酷ーい!」
「…はぁ。、よく考えてみろ。アレルヤと同じガタイのハレルヤを相手にするんだぞ?」
「…?それが?」
「…まだわからないのか。…まぁ、分裂なんて非現実的なことなど考えるだけ時間の無駄だな。」
「ムッ!せっちゃん俺をバカにしてるー?!」
「バカにはしてない。呆れただけだ。気にするな」
「もぉー、せっちゃんのいけずーーーーー!」
そんなやり取りを今日の昼間に刹那とした。
一つの体に二つの人格じゃ、いろいろ窮屈だったりしないのかな…なんて考えてたのを刹那に話したのが始まりなんだけど。
話し終わる頃には、「そうだよね、ありえないよね…」と夢見ごち過ぎた妄想に自分でも呆れてた。
結局、刹那が最後に何を言いたかったのかはいまいちわからないまま終わってしまったが、まさか今になってその真意を知るハメになろうとは、思いもよらなかった。
ていうか、普通なら誰も思わない。
「なっ、ななななっ、何なんだお前らぁあああああああああ!!!!!?」
ひとえには、部屋のロックをかけ忘れた、自分が悪いのかもしれない。
でも、気の許せる仲間だったら。
信頼してやまない相手だったら、夜分遅くに勝手に部屋に入ってきても、そこまで警戒したりしないじゃないか。
それがアレルヤっぽく見えたなら、尚更だ。
「いい加減諦めろ、って」
「ご、ごめんね!止めようとしたんだ、したんだけど…」
「ったく、ウダウダとうっせぇーな」
「ハ、ハレルヤッ!元はと言えば君のせいで…!もうっ、僕は怒ってるんだよ!」
「ほら、この手退けろよ」
「ちょっ…、ハレルヤ!!僕の話聞いてる?!」
「ぁあっ?!こんな時にテメーの話なんぞ聞いてられっか!」
そんな会話が、頭上でさっきから延々と続いている現在。
第一声に上げた俺の悲鳴など、まるっきり無視だ。
まぁ、無視はこの際いいとしよう。
ハプティズムが二人というあまりに非現実的な状況に、悲鳴を上げたっきり固まってしまった自分も悪いのだ。
それでも、俺は非常に一言だけでいい、割り込んで物申したい。
なんでもいいから、お前ら両方俺の上から退け、と。