もうすぐクリスマス。
スクリーンに映し出された報道番組のニュースキャスターが、幸せそうな雪降る街並みを行きかう人々を映し出して言う。
“今年も昨年同様プレゼントを買い求める人で賑わっていますね”
と。


モニターを見ていたリボンズが、

「一つだけ、君の願いを叶えてあげるよ」

なんて言って笑う。

じゃあ、とお願い事を口にしたら、

「それは無理だよ、。だって彼は、もうどこにもいないんだよ?」

なんて、平然と言ってのけた。


それなら叶えてあげるなんて、口軽く言わないでと罵ったら、

「代わりでいいなら、あげるよ?」

と、また、意地悪く笑って言った。











柔らかなベッドの上に、四肢を拘束されて投げ出された。

首元に真っ赤なリボンを飾らせる、鳶色の髪の彼。


白い眼隠しの布で覆い隠された双眸。
外せば、きっと同じ色。


口枷を噛まされた、色の薄い唇。
外せば、きっと同じ声。


それでも、私は彼を知らないし。
彼もきっと私を知らない。









「ねぇリボンズ、このあなたからのプレゼントは何?」

白肌の首元に飾られた赤いリボンを指先で弄びながら、振り返り聞けば。

「ロックオン・ストラトス。君が望んだものだよ?」

グラスに注ぎ入れ燻らせていた赤ワインを一息に煽りながら。
何でもないようにリボンズが嗤い、言う。


「確かに、そうね。この瞳も」

外して露わになる、グリーンの瞳。

「この声も」

外した途端に真正面のリボンズを捉え、罵るように吐き出される、

「っ、テメッ…俺に何する気だっ!」

クリアな声。


「言葉使いとか最悪だけど、彼となんら変わりはないわね。」


見た目だけなら、彼はロックオン・ストラトス。
でも違う。
中身が違う、心が違う。

全部、ちがう。


「気に行ってもらえたかな?」

泣きそうになるのを必死で堪えて立ち尽くす私に、くすりとひとつ微笑んで。
リボンズがゆっくりとソファから立ち上がる。


そうして、激しい怒りを宿した瞳でリボンズを見据えていた彼に。
ひとつ、ふたつと語りだす。

「刹那・F・セイエイか、そうだね、ティエリア・アーデあたりから聞いていないかな?4年前の戦いで整備士が一人いなくなった、って。」

「整備士?」

「そう、君の機体の整備をしてた、ロックオン・ストラトス、君の―――・・」




「ヤメテッ!」


繋がる言葉を聞きたくなくて、大声を出して、耳を塞ぎながら崩れ落ちる。

けれど、リボンズは紡いでいく。
続く言葉を。



「・・――恋人。そうだったね、?」