もうすぐクリスマス。
クリスマスといえば、純真無垢なお子様たちへのプレゼント!
それはトレミー内でも毎年慣行されている。
年に数度のビッグ行事だ!
そんなわけで、今年も大人組みと子ども組の熱い戦いが早速だが、始まっていた。
「ガンダムだっ!」
「おまっ…、もう20歳なんだから、プレゼントやる組だろ?!」
緊急事態だ!というロックオンの召集コールに急ぎ足でやってきてみれば、これだ…。
ミーティングルームの扉が開いた途端に聞こえてくる二人の声に、がっくりと肩の力が抜けおちる。
「ニィーーーール!!緊急事態って何事かなぁー?ァアアアン?」
背後に閉まる扉に振り返るロックオン…もといニールの両頬を、ぐに〜っと抓りあげていると。
わたわたと奥でお茶を入れていたらしいアレルヤが、慌ててこちらへとやってきた。
「ごっ、ごめんなさい…!僕が、皆で話し合おうって言ったから…」
そういって、フリフリのエプロンの裾を握りしめて、しゅん…とうなだれる姿も可愛い。
非現実的だが、今にも垂れた耳とふっさふさのしっぽが見えてきそうな位だ。
可愛い…!
「なぁんだ、そうだったんだ!ならいいんだよ、アレルヤー。俺、アレルヤが淹れてくれた紅茶、飲みたいな?」
あまりの可愛さに緩みそうになる口を引き締めようとして、ニールの頬をさらに抓りあげていたなんてことには微塵も気付かずに。
お茶を頂戴と、アレルヤに促す。
「…猫かぶり」
「誰がだっ!」
そんな様子にぼぞりと零した刹那にキッと視線をやれば、
「お前だ、ーーーー!!いってぇええええええ、離せーーーーーっ!!!!」
真下から、ニールの切ない叫びが響いてきて、漸くそこで気がついた。
「わぁーぉ、ごめーん。ちょう真っ赤!リンゴだ、リンゴ!可愛いよ、ニール!」
「ちくしょー、バカ力めぇえええええ!!!」
なんとか取り繕うように、声を掛けてみるものの。
真っ赤になった両頬を抑えながら涙目の瞳で俺を恨めしげに睨みつけてくるニールはとても可愛くて。
無意識にニヤついていたらしい。
ボスン…となんともアホな音を立てて。
俺は投げつけられたクッションに、敢え無く沈んだ。
くりすます大作戦 1