重厚な格子で区切られた窓の向こうに広がる景色。

天蓋付きのベッドに、床一面には柔らかなラグジュアリーのマットが敷かれ。
大きな鏡台に、窓側にはティータイム用の机に椅子が三つ。
それ以外にも柔らかなソファーが大理石のテーブルを囲むように三つ。

決して狭くはない、一人で過ごすには広すぎ、また贅沢過ぎると言える部屋。

視界に入るだけのものを羅列すれば、とてもいい部屋のように思う。
だが、そう思うには納得のいきようのないオプションが、この躰に一つ、ある。


ジャラッ…

重たい音を立てて響く、自分の片足とベッドの柱とを繋ぐ、鎖。

“凄く恐かったんだ、だからもう二度と、逃げだせないように―――…”

そう言って、あいつが付けたこの鎖。

これがある限り、ここは囚われの檻であり。
俺はあいつらの愛玩人形だ。



「風呂…入りたい…」


扉を一枚隔てた先にバスルームはあるのに。
その扉は鍵が掛かり開かない。

“風呂なら俺達で入れてやる。それでいいだろう、?”

逃げ出すことを恐れたあいつ等が、そう言って鍵をかけてしまったから。


「早く…、帰ってこいよ…」

白いシャツ一枚を羽織っただけの格好で、窓の格子に縋りついて。
囚われの檻から、空を見る。







囚われの




*ミルクの味。   /アレルヤ