1階から2階までが吹き抜けになっている、広い部屋。
その吹き抜けの中央にある支柱に繋がる、重たい鎖。


一歩、動くたびに。
右足に繋がる鎖がジャラリと重たい音を立てる。

ガラス張りの天井に広がる、格子に分かれて区切られた空。
その格子に絡みつくように蔦を這わせる蔓草。

そんな部屋の中央で、支柱をぐるりと回る螺旋の階段に。
寄り添い立つ、真っ白いドレスに身を包んだ私。


大きな鳥籠だね、と誰かが言った。

はたしてあれはどちらだったか…。



「お腹、空いた…」


長い長い裾を引きずらせて、だだっ広い部屋の中を一人さ迷う。
今は誰もこの家にいない。

私をこの家に連れてきたあの人は、

“どこにも行かせない、―――…”

そう言って、私を鎖で繋ぎとめた。


そして、この家で鎖に繋がれた私を狂うように貪ったあの人は、

“誰にも、渡さない―――…、は俺の…俺たちの物だ”

そう言って、あの人を追いかけて行ってしまった。


残された私は、ただ彼らの帰りを待ちながら一人、過ごす。





鳥籠の




*捕食者はどちらか。   /ニール

*餌の時間。   /ライル

*おやつの時間。   /アレルヤ

*晩餐の花。   /リジェネ・ティエリア

*毒の味   /アレルヤ

*甘い毒   /ライル

招かれざる客   /グラハム

*凍てついたナイフ   /グラハム

*美女の唇。   /リジェネ・ティエリア